このページが、このサイト一番の特徴となるかもしれません。ほかではあまり熱く語られることの少ないリッド(フタのことです)について、掘り下げて語るという、ちょっと酔狂なことをしています。おそらくウルトラライト志向でないかたには、なんのこっちゃわからん話でしょう…。
ウルトラライトなクックセットを考える場合、チタンをはじめとする金属製のマグを直火にかけるといった使い方をしていますが、その際にカギとなるのが、その沸騰を促進するためのリッドです。
マグ用のリッドは通常、なぜかほとんどのメーカーからは提供されていません。より高額なクッカーを購入してほしいという思惑があるのでしょうか。仮に提供されていたとしても、保温用のABS樹脂製のものであったり、直火での加熱に耐えうるものではないものだったり、とたいへん不便な状況です。
ここでは、各種マグのためのリッドについて、順に紹介していきたいと思います。
・「スノーピーク シングルチタンマグ600」用のリッド
まずは既製品です。といっても、マスプロダクトではなく、ガレージメーカーT’sStoveさんのSP600用のチタニウムリッドを紹介します。一枚一枚、職人さんがヘラ絞りで加工していて、しっかりしたつくり。スノーピークのマグ本体同様に、頑丈で安心感があります。値段は少々高く3300円。写真は自前の木製ハンドルに換装したもの。重さは実測で、少し重めの22gでした。
つづいては、筆者の「かぶとやま工房」で製作したSP600用チタニウムリッドです。T’sStoveさんのリッドが少し重めだったので、つくってみました。金型からおこしています。ワークとなるチタニウム薄板を丸く切り出し、浅絞りプレスをかけて形にしています。重さはゆうゆう8g。厚みをギリギリ0.2mmまで抑えた効果がでています。チタン材を採用しているので、強度もまずまず問題ないでしょう。これが初代版でした。
上記のSP600用チタニウムリッドを、リニューアルしてみました。前作からの設計変更点として、テーパをなくして、口径も少し広げてみました。これでもSP300 やSP450用のリッドに比べると、まだ少し勘合が甘いかなと思います。でも、炊飯の吹き上がりの時にずらしたりできて、重宝します。
いったんはこれでできあがりとしています。このリッドは、「かぶとやま工房」のプライベートストアで販売をしています。
※あまり数を作っていないため「SOLD OUT」となっていることがあります。また製作・販売の時期が来ましたらこのブログでアナウンスします。
・「スノーピーク シングルチタンマグ450」用のリッド
T’sStoveさんでは先ほどのSP600用リッドと同じく、SP450用リッドも発売しています。こちらも職人さんのヘラ絞りの一品で、価格も同じ3300円。元のポリカーボ製のハンドルもよくできていますが、暖かみというか木の風合いが好きで、筆者は自前の木製ハンドルに換装して使用しています。三鷹のハイカーズデポさんでも取扱いしていて、人気のあるプロダクトです。重量は実測で、20g。
同サイズのリッドとしては、他にEPIgasの発売しているチタンマグ用リッドがあります。概ね1900円程度で販売されていて、比較的リーズナブルなリッドです。重量も軽くて15g。さすがはマスプロ製品、持ち手までチタンでよくできています。でも、個人的には木製のハンドルにとりかえのきくT’sStoveさんのリッドが好みです。
ほかの同口径のマグについても、書いておきます。
「TERRA NOVA (テラノバ) チタンマグ」(370ml)にぴったり合います。
「VARGO チタニウムトラベルマグ」(450ml)もばっちり。
「montbell チタンカップ450」(450ml)にも合います。
このクラスは、かなり同口径のマグが充実していますね。
山道具屋さんを巡れば、きっと好みのマグに出会えることでしょう。
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このSP450対応のリッドについては、SP600とおなじく、より軽いものを作りたくなりました。今回製作したのが、ネジまで純チタンにこだわった、重量8gのチタニウムリッドです。
右の写真のマグは、その同じリッドで、すべてサイズが合います。前列の左がEPIgasの350mlチタンマグ、右がテラノヴァ370mlのそれです。
後列の左がmontbellの450ml、中央がスノーピーク450mlで右がVARGOの450mlとなっています。
※2014年1月17日より、「かぶとやま工房」のプライベートストアでも販売開始しました。
超軽量コンパクトで人気がある、「MSRのチタンカップ(400ml)」にも、SP450用のリッドが適合することを確認しました。(勘合はきつめです)
(2014年1月9日追記)ベルモントの「チタンシングルマグ450フォールドハンドル」にもSP450用のリッドが適合することを確認しています。
このマグとリッドは、ちょうど質感の調和が取れていて、非常に美しい組合せとなっています。
このベルモントのマグ本体は、筆者のまわりの実店舗ではまったくといってよいほど見かけません。※知る限り「白馬堂」さんのみ。
しかし、インターネット上のオンラインストアでは、楽天やAmazonで取扱いが確認されています。筆者のプライベートストアで取り扱うとしたら、このマグがよいのではないかと思っています。(スノピも良いのですが、小口では卸していただけないようです。)
・「スノーピーク シングルチタンマグ300」用リッド
このサイズとなると、金属製の市販品リッドはなくなります。最初に書きましたがABS樹脂のフタはあります。が、それでは火にかける用途には使えません。となると、あとは自作するしかなくなるというわけです。SP300用のリッドも、金型から設計して、チタンをプレスして製作しました。重量は、堂々の4gです。ハンドル固定用のビスも、チタン製の特注品にした甲斐がありました。
このチタニウムリッドも、少量ですが「かぶとやま工房」のプライベートストアで販売しています。
じつは上のSP300用リッドを作成する前には、市販の缶を加工して作成したスティールリッドを作成していました。重量も8gと、これはこれで満足のいく出来だったのですが、かぶせ蓋スタイルだったため、やはり完全オリジナルのものが作りたくなったのです。それで、一から設計しなおしました。
・「スノーピーク シングルチタンマグ220」用リッド
このサイズも、当然ながら市販品はありません。ですので、また金型から自作のフタを…ともいましたが、これは缶の加工したものです。
材質はスティール、重量は4gと先ほどの手製のSP300用チタニウムリッドとかわらない重さです。ある程度ほかのサイズは好評なら、このサイズの金型も製作してみようと思っています。
・「MUJIアルミマグカップ(大)」用リッド
これは番外編です。SP600用のリッドを製作するつもりが、テーパーをつけると勘合が甘くなってしまい、本来の用途には合わなくなってしまいました。そこで、MUJIのアルミマグカップ(大)にあわせてみるとこれがぴったり。なんということでしょう、というわけでアルミ製で製作してみました。ハンドルをマッシュルーム型に変えてみて、12g。アルミ製は熱伝導率がよく、1合のご飯を炊くのにはもってこいです。
ちなみに、ハンドルをいつもの木製・円柱タイプのものも製作してみました。こちらはちょうど10gです。
直径90mmのステンレスポットが別にありましたので、そちらにへ合わせてみました。もちろん同口径ですので、当然ながらぴったり合います。
案外とこのサイズのリッドは、汎用性があるのかもしれませんね。
なお、エバニューのチタンカップ400FDのリッドの製作にも興味があります。
400mlサイズで48gという、この軽量なカップにあうリッドを作れば、使い勝手がたいへんよさそうです…。
機会があれば、リッドを製作してみたいプロダクトです。
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かなり時間がかかりましたが、正式プロダクトとしてリリースしています。
記事はこちら。
スノーピーク社のチタントレック700(通称SP700)やベルモントのチタンシングルマグ700にも適合する、汎用リッドとなりました。
スノーピークシングルチタンマグ用のリッド(SP300/SP450/SP600の3種)については、現在は筆者の運営するオンラインプライベートストア、「かぶとやま工房」で購入できるようになっています。※プライベートストア「かぶとやま工房」は2014年1月17日にオープン。
しかし、あまりたくさんは作れませんので、ご迷惑をおかけするかもしれません。
実店舗では、阪急六甲駅の「白馬堂」さんのお店でプロダクト(リッド)展示と、在庫を少しだけ置いていただいています。(2014年1月10日から展示・販売スタート。)
実物がご覧になりたい方はぜひお店へ足を運んでみてください。ほかにもシックなオリジナルザック、ほかの作家さんの素敵なオリジナルグッズがあり、行くだけで楽しめると思います。
・番外「ロッキーカップ」関係
市販(テントマーク製)のチタニウムリッドを加工して、フランジの耳なし・木製ハンドルつきの480mlロッキーカップリッドセットもあつらえています。このサイズは、「パイントカップ」という呼び方もされますね。
このサイズは、筆者のまわりでは意外と女性陣に人気があるようです。
調理に向いているんでしょうか…。確かにおコメの一合炊きができて、パスタもラーメンもOKで、ちょっとした「フライパン」がわりにもなれば、「ひとり鍋」もできます。
家でも活用されているとのことで、作り手としてはたいへん嬉しいです。
このサイズをひとまわり大きくした、「600mlサイズ」のロッキーカップもありますね。
これはサイズが大きいので、belmontのチタニウムリッドがちょうど合います。
リッドの耳を切り飛ばして、木製ハンドルを取りつけたものが下の写真です。※ちょっと加工が粗くてすみません。
確かにラーメン、丼もの、ひとり鍋など「なんでもこい」です。
このブログの推奨はあくまでも「軽量なマグポットでのクックセット」なのですが、こういった少し大きめのものを使うと、調理のバリエーションがふえるので、これはこれで楽しめます。
多彩な食事を楽しみたい方はこういうのもありだと思います。(ちょっと日和ってますかね…。)
ピンバック: EPIgasのリッド(純正ポットセット) | マグのフタを考えてみる。
ピンバック: あけましておめでとうございますー。 | マグのフタを考えてみる。
製作を希望されるリッドがあれば、ここにコメントいただけるとありがたいです。
もちろん、すべてのご希望に沿えるわけではないのですが、大勢のかたからリクエストのあったものは実現を検討しようと思っています。
現在のところは、以下のリッドが候補に挙がっています。
・エバニュー400FDチタンカップ(400FD)、
およびスノーピークシングルチタンマグ700(SP700)
・シエラカップ(300ml)/ロッキーカップ(480ml)の深底リッド
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エバニュー400FDチタンカップ(400FD)とロッキーカップ(480ml)の深底リッドの制作に1票!!です。
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2eさん、コメントありがとうございます。
ほんとうに400FDとロッキーカップは人気がありますね。
ストアのリクエストやお会いした方にも、多々お声をいただいています。
これからご期待にお応えしていきたいと思います。 (^_^
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