そもそも論としてのシェラカップ考。

このブログの読者の方にはご承知のとおり、しばしばロッキーカップが取り上げられています。

その説明として、「シェラカップよりももう少し(深底で)大きくなったもの」といった表現をすることがあります。

しかしよく考えてみると、「シェラカップってそもそのなんなの?」というこれからのハイカーの方々に対して、まだきちんとした説明をしないままでいたことに気づきました。

そこで、今回はシェラカップについてのお話となります。

さっそくですが、現物がこれ。「SIERRA CLUB」のエンボス(刻印)が、じつにアメリカンないい感じです。

DSC01274アメリカ自然保護の父ジョン・ミューアが1892年に創立したシェラクラブの由緒正しき純正品です。(当時のものから若干改良されて、元の寸法よりも少し大きくなっているようです)

このシェラカップ、たしかにプロダクトではありますが、ただの商用品とはちょっと違うところがあります。

価格の一部がシェラクラブに寄附金(基金)として充当され、自然保護に役立てられます。シェラカップは、このような目的で会員に向けてつくられたという経緯があるのです。

このシェラカップをザックにつるしておけば、自然保護に関心のある人間として、無言の表示になるというわけなのです。

つぎにシェラカップの基本というか、その長所をおさらいしておきたいと思います。

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長所その1:火にかけられる

基本となる「湯沸し」により、コーヒー、紅茶・粉末スープなどを作ることができます

300ml程度のお湯なので、その湯量で足りるカップ麺などもOKです。

山頂ラーメン派には嬉しいですね。

ほかにベーコンやウィンナー、目玉焼きなど炒めものもできます。

少し変わったところでは、シェラカップ炊飯燻製(ふたつをあわせてフタにします)などもできました。

はたまた、採取した山菜をてんぷらなど揚げ物にする強者もいらっしゃるようです。

長所その2:頑丈である

オリジナルのシェラカップはかなりしっかりした作りで頑丈です。ちょっとやそっとじゃ壊れません。雪で水を作る時や、大キジを打つときのスコップがわりにもなります。

長所その3:軽くてコンパクト

同じシェラカップをスタッキング、つまり重ねることで、2~3個携行しても収納はほぼ1個分のサイズで済ませることができます。こういった収納性は何かと便利がよいものです。

長所その4:計量カップや取り皿になる

純正品はメモリがつけられていませんが、いろいろなメーカーから同じサイズのシェラカップが発売されていて、100/200mlや4/6/8oz(オンス)などの計量に使えます。

当然純正品にも容量の目盛をヤスリなどで刻めば同じことが可能です。これをMYOGというと大げさですが、炊飯をよくやるひとだと180ml(1合)などの目盛はありがたいものです。

また、直火にかけたり熱いモノを注いだりした際にも、唇をやけどしにくい工夫がされています。

カップのリムにはハンドルと一体化したワイヤーが巻き込んであり、熱伝導率の違いを作って熱くなりにくい工夫がなされています。

アルミ製のクッカーなどはいつまでも熱く、なかなか口をつけられたものではありませんが、比較的早く口をつけられるようになるカップだと思います。(でもヤケドにはご注意!)

また、バーベキュー時のタレ容器としても、「最強」の部類に入るのではないでしょうか。

動き回っても安定するしっかりした持ち手、それに邪魔にならないコンパクトさを生かした焼肉争奪時の機動性はかなり優秀です。

※写真 計量目盛の充実した、「CHUMS」製のシェラカップ。(180ml=1合が嬉しい)

DSC01275

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ここまででいろいろと長所を書きましたが、逆に短所もあります。

短所その1:小さい容量

やはり、少し容量が小さいと思います。1合炊きのご飯を食べたいならば、最低でも480mlクラスのロッキーカップを使用すべきでしょう。

どんぶりものを作る際にも、サイドメニューサイズは十分勤まると思いますが、メインメニューはちょっと荷が勝ちすぎます。

短所その2:すぐに冷める

これはある意味仕方のないことなのですが、広口の形状かつ、薄いシングルウォールの金属器ですので、さめやすいのです。

アルファ米などの蒸らしなどを行いたい場合は、別途ジップロック&コジーなどを用意すべきです。

短所その3:こぼれやすい

広口ですので、お粥・雑炊、シチュー、カレーなどをかき混ぜるとこぼれやすくなっています。

この点も、ロッキーカップに軍配が挙がるところです。

短所その4:底径が小さく安定しない

ストーブを選ぶカップだということも書いておくべきでしょう。

ガスストーブの3つ股ゴトク、4つ股ゴトクなどははほとんど大丈夫なのですが、それより小さいサイズのストーブの場合には注意が必要です。

意外と乗りにくいストーブとしては、ESBITのポケットストーブ(なんとか使えないことはない)です。

VARGOのチタニウムウッドストーブ、はダメエスビットのチタンウィングストーブなんかも座りがアヤしくてやめておいたほうがよさそうです。

EVERNEWのチタニウムストーブ(=トランギアTR-B25)や十文字ゴトクなどは大丈夫でした。

持っていくストーブにあうかどうか、を気にしなくてはならない点が少々気を使うところですね。

また有名税というか、これはスペック上の欠点ではありませんので、短所に挙げませんが、みんなが同じものを持っていることが多いため、どれが誰のだかよくわからなくなります。

よくある「ビニール傘現象」です。それがシェラカップでもしばしば発生することがあるのです。

これは貴方の個性を発揮できるチャームなどをつけてあげれば、取り違え対策になります。

(不思議と山道具屋さんであまり売ってないのですが…このくらいは自作してしまいましょう。)

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いかがでしたでしょうか?

ものは試しで、個人的にはひとつくらいシェラカップを持っていてもよいのではないかと思います。

前述の「オリジナルシェラカップ」やおしゃれで実用性のある「チャムス」以外に、もう一つおすすめをあげておきます。

スノーピーク社の、「チタンシェラカップ」です。

DSC01273このカップの売りは、なんといってもその「軽さ」です。

オリジナルのカタログスペック82gに対し、スノーピーク社製は39.5gしかありません。

中に何も入れていない時に、風にあおられて飛ばされないよう、気をつけなければならないほど、めちゃくちゃ超軽量です。

また、リムの巻き込み加工がたいへん美しく、よい意味でワイルドなオリジナル版の仕上げと好対照です。

伝統的なシェラカップと、最新鋭の技術と素材で作られたシェラカップ、どちらもじつに魅力的ですね。

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というわけで、今回はここまでにしておきたいと思います。

それではまた!

SOLのエマージェンシービヴィー

こんばんは、筆者です。

いろんなものにフタをする、リッドライフを楽しんでますか!?

じつはハイカーズデポさんのツイートでこんなのを発見…

当ブログの「便利な小物」ページで取り上げた、「エスケイプビヴィー」よりも、さらに軽量な「AMK SOL Escape Lite Bivvy」がリリースされている模様。

これは迂闊でした…巷の店頭では見かけませんでしたよ。

重量はなんと153g。軽いと思っていた前の252gと比べても、さらに進化していますね。
防水透湿機能つきで結露しにくい、例のサーモライト素材を使用とのこと。

安物のアルミ蒸着シートのように、内側に汗をかかないやつですね。

ツェルトとパッド、そしてこのエスケイプビヴィーだけで組むと、550g弱のソフトハウスセットができあがります。

えっ、タープだけでいいって!?猛者の方はそうしてください…夏ならわかります。

今日の大雪では、ちょっとそこまでは攻める気持ちになれない筆者でした…。

それではまた!

ビビィ、ヴィヴィ、ビヴィ?英語表記からするとやっぱり最後のが正しいんだよな…

2014年3月3日追記:

なんと、これをいま白馬堂さんで売っています。

いったいどうしたんだろう、あさのさん…

解説ブログ記事はここ。 販売しているストアはこっちです。

エスケイプライトビヴィはまだAmazonにもない、超レアアイテムですねー。

※少し重いジッパーつきの旧モデルはAmazonにもありました。

ハイカーズデポさんのオンラインショップにもまだありません。なんで?

超小型の…

前にスカイハイマウンテンワークスさんに行った際、みつけた小物を紹介します。

これ、なんだかわかりますか…?

DSC00971これは超小型の「ラインロック」です。テントやツェルトの固定用に細引き(ガイライン)を張りますが、その際のストッパーに使うものです。

店内レジ前には、丁寧に使いかたも書いてあります。

20140105 293傾斜面がクラムクリートになっていて、ペグにかけて使います。

細引きに必要なのがエイトノット(8の字結び)だけ。

小さくて非常に軽く、軽量してみたところ4個で3g。1個あたり0.75gです。

ものは3タイプあって、「ブラック」「NATOグリーン」が1個60円。

蓄光」タイプが1個90円。筆者は断然、蓄光をチョイスしています。

20140105 292

暗闇で光らせると、こんな感じ。これは便利ですね。

DSC00967大きな量販店でもなかなかかゆいところに手が届く、小回りの利いた品揃えはありません。

こういった小物を見つけると、嬉しいものです。

フューエルボトル

先日、芦屋のスカイハイマウンテンワークスさんのお店に伺った際、VARGOのフューエルボトル(240ml)を買い求めました。これは、アルコール燃料を入れておくために使うものです。

やはり、VARGOは好きなので、どうしてもこのブログでの登場率が高くなります…。

20140105 287その重量は30g。世の中ではトランギアなどから、ロック機能のついた赤いプラスチックのフューエルボトルなどが販売されていますが、これはもっとシンプルなもの。

ボトルトップのフォーセット(蛇口部分)を立てて、ボトルを絞り込むとアルコールを注ぐことができます。

ここで、すこし注意の必要なところがあります。ハイキング中ザックのなかでこの蛇口部分が勝手に立ち上がり、せっかくのアルコール燃料が漏れてしまう、といったことがあるようです。別の容器や袋にいれたりする工夫が必要なのかもしれません…

ちなみに、これはたしかVARGOのものではないのですが、容量の少ない別のボトルも一緒に販売されています。容量は3オンス(液量OZ.)なので90ml弱といったところ。

20140105 286こちらのほうが、マグの中に入れて一緒に携行したりするのには向いていると思います。中に入れてしまえば漏れるリスクも少なくなります。

容量が少しだけなので、デイハイクなどであまり回数を使わないか、または緊急用の予備として持っておくような使い方になると思います。(以前にこちらもスカイハイさんで購入済。)

トレイルランニングをやらないひとでも、ハイク道具を軽くしたいならば、ぜひ一度スカイハイマウンテンワークスさんのお店にに行ってみることをお勧めします。山を走るひとの考え方や装備は、ハイカーにとってもいろいろと勉強になります。

DSC00964手持ちのフューエルボトルを並べてみました。

左から約30mlボトル(11g)、約90mlボトル(16g)、そしてVARGOの270mlボトル(30g)です。

ちなみに、筆者も一応はトランギアの赤いボトル(500ml)も所有しています。が、これがわりと重たいのです。それによくよく考えてみると、薬局などで購入する際にアルコールの入っているポリボトル(500ml)も頑丈なので、なんだかそのままでもよいような気がしてきます。

もちろんトランギアのほうがロック機能がついていて安全、しかもアルコールを注ぐ機構がうまくできている、という長所もあるのですが…絶対に必要かどうかといわれると、ちょっと悩むところです。

メインボトルと日々使うミニボトルをわけて携行するなどの考え方もありますので、色々なサイズのボトルをみて研究してみてくださいね。

六甲全山縦走マップなど。

DSC00863 筆者の地元、関西のトレイルといえば、やはりそのひとつとして六甲全山縦走が有名です。

総距離は50数キロ、西は須磨から東は宝塚までの六甲山の山々を越えて縦走していくトレイルです。

登降差合計はおよそ3000mということで、5合目からの富士登山でいえば、ひといきに二度やるくらいの力が必要でしょうか。

嬉しいことに神戸市から、このトレイル専用の山地図が発売されています。

DSC00864その名も、六甲全山縦走マップ。価格はたいへん良心的な400円です。

ただし入手方法が少し限定されていて、注意が必要です。(書店の地図コーナーなどでは並んでいません。)

神戸市役所 または、神戸市総合インフォメーションセンター(インフォメーション神戸)で直接訪問して買い求めることができます。

郵送の場合は前述のマップのリンク先に情報がありますので、遠方の方は参考にしてみてください。

ちなみに、この地図は六甲山の全山域を網羅しています。ですので筆者は全山縦走に使うだけではなく、各ルートを踏破した際に赤鉛筆で塗りつぶしていました。

撥水性の高く丈夫なユポ紙で作られているはずなのですが、他の地図よりも赤鉛筆がのりやすく、こうした使い方ができるのです。DSC00859

六甲全山縦走フリークとしては、必携の地図です。

セクションハイク用のメジャールートの紹介もありますが、詳しい六甲山のコースについては根岸真理さんの出されている六甲山の書籍六甲山を歩こう!六甲山ショートハイキング77コースもあわせて読むとよいでしょう。

前者の書籍がメジャールート+全山縦走の解説となっていて、後者がそれを補完するかたちでマイナールート(地元の人間でないと知らないような)を紹介しています。

ちなみにあとは山と高原地図48六甲・麻耶があれば、鬼に金棒です。この地図の踏査は白馬堂浅野晴良さんが分担実施されています。

詳細なルート記載、コースタイム表示や水場、テント場、山小屋(六甲山の場合はホテルですが)、危険な場所や景観ポイントに温泉なども記載されていて、国土地理院の地図では得られないような情報が豊富にあります。

六甲山、全山縦走、トレッキングに興味のある方は、これらの地図や書籍をぜひ見てみてください。(マイナーな六甲全山縦走マップをのぞけば、関西の書店でだいたいチェックできます。)

UTSのファイヤースターター

先日ファイヤースチールを紹介したところなのですが、今日はまた別の火おこしギアを紹介します。

※ある六甲山の達人の方から譲っていただいたのですが、なかなかユニークでしたので、記事にしました。このギアの購入には少し注意が必要です。自分的には充分アリなのですが、やはりかなりクセがありましたので…。

フロリダはジャクソンビルの、UTS(アルティメイトサバイバルテクノロジー)というブランドから発売されている、「Sparkie™ Firestarter」というプロダクトです。

DSC00711ファイヤースチールといえば、まず通常はスターターバーとハンドルの棒状のスタイルが多いのですが、一風変わったこのスタイルをご覧ください。

一見、どう使ってよいのかわからないのですが、筆者も初見では「?」マーク状態でした。

よくよく見てみると、側面に「PUSH」と書かれています。それでは、と親指と人差し指で握ってみたのです。

すると、「カシャコン!」と、いきおいよくスターターバーがとびだしてきました。

DSC00713なるほど、格納式というわけです。

見てのとおり、スターターはありますが、ストライカーが見当たりません。

そこで、手持ちのビクトリノックスをストライカーにして火花を出していました。

これはこれで、とくに問題なく使用することができます。

しかし、その六甲山の達人いわく、「あーこれ、こうやって使うんだよ」とグリップを握ったまま、机にスターターを押し込んだのです。すると、あら不思議、火花が出てきました。

※文章でうまく表現できませんでした。用例をアップされている方がいましたので、そのYoutube動画をみてください。(着火のシーンは10:00あたりにあります)

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DSC00716写真ではあまりはっきり撮れていないのですが、スターターとグリップの間に、隠しストライカーが仕込まれていました。

これで、グリップを握って摩擦をおこし、火花を発生させる仕組みのようです。

うーむ、かわったギミックですよね…。

Amazonのレビューを見ると、筆者が見た時点で辛辣な意見だけが2つ並んでいる状態でした。

いずれも「火がつかない」とあります。「意見が参考になった」が合計で13件。これはなんだかかわいそう…。

手元で使ってみた感じは、特に火花がでにくいという印象はあまりなかったのですが、少し握り込みが弱いと摩擦が起きにくく火花がでないようです。握力のないかた、とくに女性やご年配のひとでこのギアは厳しいかも…。

あと、ライトマイファイヤーなどのファイヤースチールの場合の、フリントアクションとは違うということもあるかもしれません。

通常は、ナイフやストライカーを片手で固定しておいて、もう一方の手でスターターをひくことで火花を発生させますが、こちらの場合の動作はそれと違います。片手で、グリップを強めに握りこみ、地面の火口(ほくち)に押し込む。これだけです。

ほかのファイヤースターターと同じ、前述の動作をした場合、心なしかあまり火花が散らなかったような気もします。これはスターター部分がマグネシウム製ということもあり、最近はやりのフェロセリウムよりも火花が弱いということもあるのかもしれません。

アルコールや固形燃料に直接点火、というわけにはいかないので、ネイチャーストーブか焚火の火口点火用がよいのでしょうね。

スターター部分が収納できる点、片手で操作できてしまう点を考えると、握力の充分ある方はこのギアが候補に入ってくるかもしれません。

最後に、重量計測の結果をつけておきます。

重量はライトマイファイヤーのそれよりも軽量な、26gでした。

DSC00734

追記:

こういった使い方でもよいようです。(3:40頃から)